「乙女シルバー…」

殴られ、倒れたブラックがシルバーを見た。


「き、貴様が…乙女シルバーだとお!」

一瞬で、シルバーの前に来たダイヤモンドのパンチが、シルバーを貫いた。

「チッ」

ダイヤモンドは舌打ちした。

それは、シルバーの残像だった。

「ルナティックキック二式!」

シルバーは背中を折り曲げ、ブリッジの体勢から、全身をバネにして、ダイヤモンドの顎目掛けて、足を突きだした。

「ぐあっ!」

顎を突き上げられて、ダイヤモンドの体が中に舞う。

シルバーも両手を跳ね上げ、そのままジャンプすると、

ダイヤモンドの両脇に足を差し込み、ダイヤモンドの足を掴むと回転した。

「乙女ドライバー!」

ダイヤモンドの頭が、地面に激突した。

芝生を削り、首から上が突き刺さる。


シルバーは、すぐにダイヤモンドから離れると、とどめをささずに間合いを取った。


「凄い…」

何とか立ち上がったブルーは、シルバーを見て…感嘆した。


(す、すごい!)

冷静に、地面に突き刺さっているダイヤモンドを睨みながら、九鬼は心の中で感動していた。

(これが、乙女パワー!?)


男である九鬼は、ムーンエナジーで武装はできたが…身体中に曲がれるパワーを感じることができなかった。

しかし、乙女ガーディアンであるシルバーの装着者は、眼鏡の力で強制的に女に、体を変化することになる。

乙女ガーディアンの力を発揮できるのは、女だけだからだ。

九鬼は女になった体よりも、漲る力に驚愕していた。


(やれる!)

九鬼は確信した。



「なめるなよ!ガキが!」

地面から、顔を引き抜いたダイヤモンドは、すぐさま殴りかかってくる。

シルバーはフッと笑うと、無防備に両手を落とした。

「貴様!ノーガードは、乙女ダイヤモンドの特権ぞ!」

ダイヤモンドの拳が、シルバーを襲う。

シルバーは避けない。

誰もが、拳がヒットしたと思った瞬間!

シルバーの後ろで、背中から落ちたダイヤモンドの姿があった。