「ルナティクキック!0式!」

「死にな!」


真上に三日月が輝く夜空の下…大月学園の体育館の屋根の上で、激しく激突し合う二つの影。

一つは乙女ブラック-九鬼真弓。

もう一つは、魔将軍ビューティーである。

「乙女ドライバー!」

乙女ブラックの蹴りを受け止めたビューティーの腕を支点にして、爪先を絡めながら回転したブラックは、空中でビューティーの両足を掴んだ。

そして、半転すると、ビューティーの頭を屋根に向けて、落とそうとする。

「舐めるな!」

ビューティーの体が光り、乙女ブラックの体を吹き飛ばそうとする。

しかし、それさえ見越した乙女ブラックは、体勢を変え、投げ技へと切りかえた。

「大月学園落とし!」

学園ラブのブラックが編み出した必殺技だ。

「し、しまった!」

ビューティーの体は、回転しながら、体育館の屋根をそれて、グラウンドに激突した。

回転させることによって、受け身を取らせないこの技を喰らって、立ち上がった者はいない。

凄まじい砂ぼこりを上げて、頭から落ちたビューティー。

普通の人間なら、即死だろう。

しかし、ブラックは確信していた。

だからこそ、とどめの一撃を砂ぼこりの中に、浴びせた。

「月影キック!」

一度真上に向けたかかとが、ムーンエナジーを得て、光り輝き…火の玉とともに、上空から急降下で落下する稲妻!

それが、月影キックだ。


「クッ!」

グラウンドに小さなクレーターができ…その中心に立つビューティーの姿が、砂ぼこりの中に消えた。


「この程度では!」

ビューティーは腕をクロスにして、月影キックを受け止めていた。

しかし、ブラックは防御したビューティーの腕の弾力を利用して、もう一度飛翔し、回転すると、

「月影二弾キック!」

間髪を入れずに、二発目の蹴りを入れた。