シーツを片付ける俺の向こうで
カッパは放心状態
飯を食う前だったし
ほぼ一日水分しか取っていなかったから
さしたる事でも無いのに
シーツを持ち
一度キッチン横のドアを開けて
バスタブに湯を容れる
シャワーも出して
タイルの上にシーツと
着ていたTシャツだけを脱いで
仮洗いをした
ギュッと絞って、洗面器に入れ
庭の洗濯機の上に置く
ガタガタ震えるカッパをそのまま担いで
風呂に向かい、バスタブに入れた
しばらく
温かい湯を出しっぱなしにして
しゃがみ、腕を取った
握り返さず、そのまま
シャンプーを手に付けて
カッパの頭を洗う
「 少し、延びて来たな 」
泡を伸ばして、角にする
指に歯磨き粉をつけて
カッパの口の中に、指を入れて擦った
「 …噛むなよ 」
笑いながらそう言うと
一瞬、口の中で、柔らかい舌が動いた
右手でシャワーを持ってきて
左手で、カッパの顔に蓋をする
そのまま上から、髪の泡を流した
それから、左手にシャワーの湯を溜めて
奴の口に入れる
「 ゆすいで
そのまま出していいから 」
言われた通りにそうすると
少し、スッキリした様だ
目をつむって
白い肩が、湯に沈む
俺はバスタブの縁に腰掛け
カッパの、細い首を支える
湯が澄んだ所で、蛇口を止めた


