「 おれ……
無表情に、それだけ言って戻るあいつを
転んだまま笑って、庭から見てました
あいつは、
テレビ見ながら笑ってて
飯早くしろよって言われたから
マヨネーズ無いから買って来るって…
外、出ました 」
「 ……そのまま、出て来たんだね? 」
カッパの目は、虚空を見つめる様に
灰色に陰っていた
「 …自分でも、何してるのかなぁって
ただ、思っただけなんです
空、見たら、青くて
きれいで
いつの間にか、横濱来てて
公園で、ぼーっとしてたら
…おばあさんが、キュウリくれました 」
そう言って笑う奴が
そのまま消えそうに見えて
俺は焦って一歩、足を踏み出した
梅川さんは
奴を見たまま、涙を流して
当の本人だけ
弱く、笑っていた


