群青の月 〜『Azurite』take00〜






パンが焼け、歓声を挙げるカッパ

三分けの筋が入った所で、ひとつ割った


湯気が一瞬たちのぼって
奴はジッとそれを目で追う




まだ顔面半分のガーゼは取れていないが
だいぶ、顔色も良い


青白い肌は白に

目元にあった窪みが、少し減って来ている




「 ほら 」



少し粗熱の取れたキューブ型のパンを
カッパに渡す


それからキッチンに立って
プレートを洗い戻ると

カッパは
ベットの上に大の字になり
眠ってしまっていた




胸の上に、パンを持ったままだ




奴の肩と膝の下に手を入れて
シーツの真ん中に運び
しっかり握ったパンはそのまま
腹まで、タオルケットをかける




俺はソファーに座り、久しぶりに
ベースの入った、ソフトケースを開けた