パンが焼け、歓声を挙げるカッパ
三分けの筋が入った所で、ひとつ割った
湯気が一瞬たちのぼって
奴はジッとそれを目で追う
まだ顔面半分のガーゼは取れていないが
だいぶ、顔色も良い
青白い肌は白に
目元にあった窪みが、少し減って来ている
「 ほら 」
少し粗熱の取れたキューブ型のパンを
カッパに渡す
それからキッチンに立って
プレートを洗い戻ると
カッパは
ベットの上に大の字になり
眠ってしまっていた
胸の上に、パンを持ったままだ
奴の肩と膝の下に手を入れて
シーツの真ん中に運び
しっかり握ったパンはそのまま
腹まで、タオルケットをかける
俺はソファーに座り、久しぶりに
ベースの入った、ソフトケースを開けた


