「 …突然だったもんな 」
「 ……うん 」
「…俺達は
あのベッドの上で、抱き合って
二人でずっと、心臓の音を聞いてた… 」
「 ………うん 」
「 だから…… 駄目なんだ
おまえに
今 男として触れたら…
全て壊しても
もう二度と、おまえを離さなくなる…
―― おまえが…他の男に笑ったら 」
―― あの時祈った、
たった一つの願いは
あずるの鼓動が
再び鳴り出す事だけだった筈なのに ―――
「 …知って、るよ…?
…リュ、ジだもん 」
「 ―…あの…っ 約束は…
忘れて無いからな…?! 」
「 ……うん…!! 」
―― 声は鳴咽になり
俺は 号泣する あずるの頭を
肩に乗せる
そして
笑って、煙草を吸いながら
くさかったマイクの事とか
コーラに入れたフリスクに
怒る真木の事とか
初めておまえの歌を聞いた時
どれだけ俺が、嬉しかったかとか
キュウリは味噌をつけて食ったとか
そんな話を、ずっとしながら
――― かなり長い間
お互いの涙が止まるのを、待った


