灰色の、雑居ビルの狭間
白い満月は、雲が走る天頂



通りを走る排気音しかしない
その道を


ベースを背負い、ゆっくりと
マンションに向かって歩いた



丸いランプだけが照らす
入口の階段に




灰谷が独りで、座っていた