倉庫から公園迄、さほど距離は無い


夜になって、
近くのビル群の窓に明かりがつく


コンビナートの赤を目指し歩道を渡り
公園につくと、沢山の人だかり







―――― 救急車の音



「 すみません 」

焦りながら人を分けると

―― お婆さんが担架で運ばれていた




「 お婆さん!! 」




「 ああああ カカシくぅん! 」


「 ど…具合悪くなったんですか? 」



「  違うんだよ 」



頭に血を流しながら
ラーメン屋の親父が
ゆっくり、救急隊と共に歩いて来た



「 …!! 一体何が! 」



「 ……ガキ共がきやがってよ
どっかの制服…私立か
金持ち学校よ

まあそれはいいわ
あの白い 」



「 カッパちゃんが
さらわれちゃったんだよぅ!! 」




―――― え 



「 …ばあさんに
売り上げ寄越せってよ

最近ずっと、狙っていたらしい


一回はあのボウズ、強くてな
全員張り倒したんだが
急に座りこんじまってよ

そっから助っ人に入ったんだが
餓鬼、ナイフ持ってやがってな 」



親父の額にはスッパリと線が入り
血がスルリと流れ出す



救急隊員にガーゼで抑えられ
お婆さんと一緒に中に入り
扉が閉じられた





走り出そうとした途端、グイと手を引かれ

振り向くと、
額に皺を寄せる竹田さんがいた




「 ――気になっちまってよ
来たらこんな事が起きてた

…少し待っててくれ 」



竹田さんは携帯のボタンを押し
何か話をしている


顔も声も雰囲気も変わっていて
いつもの『竹田さん』では
無くなっていた





「 ―― 今、若いのに聞いたらな
そのガキ共がよく溜まってる
倉庫があるそうだ
Ⅰ−35なんだが 」