ライヴハウスの看板
道路を渡ったコンビニ前で
さっきのちびっ子とタカコちゃんが
見に来てくれた
友達らしき人達と話している
すぐにダンサー系の男とちびっ子が
ライヴハウスの下に移動し
なにやら話し込むと
泣きそうになったその子に
ダンサーは謝り、その体を抱き上げた
彼氏かな?と思ったら
そこに灰谷が走り寄る
すると、ジタバタしながら
慌ててちびっ子が、その腕から逃れた
… 微笑ましくて、吹き出した
灰谷には見られたくなかった
シーンなんだろうな
灰谷も空気読んでやれ
奴は親指で、後方の入口を指してる
…ああ、時間30分前教えに来たのか
―― 俺はすぐに視線を戻し
客の出入りが激しくなった入口を
ジッと見つめる
その俺の横に
灰谷が、黙ってしゃがんだ
上着を脱いで
素肌に直接、ターコイズとシルバーの
首飾りをしている
入口近くに居るお客達が
チラチラと、灰谷を見ていた
けれどその横顔は
その視線など気にしていなくて
『Azurite』を狙う陰に目を懲らしている
「 …おまえも
損得勘定無しに普通に動くからな
あの子の中ではきっと
ベースを見つけてくれた
ヒーローになってるぞ 」
「 …A、ライヴに出る
楽器がない=弾けない、だろ 」
「 そうなんだけどね… 」
あずるもそういう所あったな
…友達 = 助ける
それは、とても純粋で綺麗だけど
時に残酷な事に成り得るのかもしれないと
少しだけ、思った


