ストロベリーピンクのリハが終わり
灰谷が後ろに戻って来た
そして凄い勢いで
ベーシストの子が戻って来て
俺にお辞儀して、ベースを返し
ホールから飛び出して行った
そして灰谷が
「 …ちょっと出て来ていい?
本番前のチェックには戻るから 」
「 …責任感じてるのか 」
「 少しね 」
そう言って、ブーツの靴音をたてて
ホールから出て行った
すぐに、先程の髪の長い子が
俺達の傍に走り寄って来た
「 あの、今!
Cheaのヴォーカルさんが
駅にベース探しに行って来るって
…本当にすみません 」
「 いえいえ 」
「 ……あ あの 青山さんですよね 」
「 はい 」
「 わ、私、実は、真木の妹で
タカコって言いまして… 」
「 はい 」
笑いながらそう言うと
「 知ってたんですか?! 」
よく見れば、真木によく似た
目鼻立ちのはっきりした面差しだ
「 レスポールで気がつきました
真木が昔、持ってたのと
同じだったので 」
「 ああああの!
握手してもらえませんか?! 」
「 はい? …何でまた 」
びっくりしたが
とりあえず、握手した
「 …私、昔、
アニキに練習連れて行って貰ってから
ファンなんです!!
ありがとうございます! 」
赤池さんが
「 いいなあ!!いいなあ!! 」と
冷やかし
緑くんが
「 ……青山やっぱ
女子高生キラーフェロモンとか
出てんじゃないの? 」と
ニヤニヤする
―― 無視してみた


