群青の月 〜『Azurite』take00〜





ストロベリーピンクのリハが終わり
灰谷が後ろに戻って来た


そして凄い勢いで
ベーシストの子が戻って来て
俺にお辞儀して、ベースを返し
ホールから飛び出して行った





そして灰谷が


「 …ちょっと出て来ていい?
本番前のチェックには戻るから 」


「 …責任感じてるのか 」



「 少しね 」



そう言って、ブーツの靴音をたてて
ホールから出て行った




すぐに、先程の髪の長い子が
俺達の傍に走り寄って来た



「 あの、今!
Cheaのヴォーカルさんが
駅にベース探しに行って来るって
…本当にすみません 」



「 いえいえ 」


「 ……あ あの 青山さんですよね 」



「 はい 」



「 わ、私、実は、真木の妹で
タカコって言いまして… 」



「 はい 」

笑いながらそう言うと




「 知ってたんですか?! 」

よく見れば、真木によく似た
目鼻立ちのはっきりした面差しだ




「 レスポールで気がつきました
真木が昔、持ってたのと
同じだったので 」



「 ああああの!
握手してもらえませんか?! 」



「 はい? …何でまた 」


びっくりしたが
とりあえず、握手した



「 …私、昔、
アニキに練習連れて行って貰ってから
ファンなんです!!
ありがとうございます! 」



赤池さんが
「 いいなあ!!いいなあ!! 」と
冷やかし



緑くんが
「 ……青山やっぱ
女子高生キラーフェロモンとか
出てんじゃないの? 」と
ニヤニヤする




―― 無視してみた