群青の月 〜『Azurite』take00〜





女子高生達のリハーサルが始まって
ギタリストの子のギターを見て驚いた




―― 真木のレスポールだ

ストラップのステッカーに
覚えがある



「 赤池さん 」


「 なあに? 」



「 あのギタリストの子の名前
わかりますか
ギターが真木のなんです 」



「 あ!下の名前かと思ってたけど
姓かあ!! 」



―― 随分禿げてるけど
妹に、あげたのか  真木




「 …やっぱり
あれ弾くの無理っぽいなあ 」

緑くんがベーシストを見て、心配そうだ


赤池さんが
「 責任者の松田さんと
相談してみるかね 」と
事務室に向かった





蘭さんが、横にやって来る


「 ……ええねえ
うち、あれ位の時が
1番バンド、楽しかった
今はもうボロボロのヘープーやわ 」



「 …そうだったかもしれませんね 」




―― 珍しく

灰谷がパイプ椅子を持って
1番前で、彼女達のステージを見ている


いつの間にか、周りにも
やっぱり俺や蘭さんと
同じ様な気持ちで、集まる人が増えていた




『 懐かしいね 』とか
『 初めてっぽいね〜 』と話し



微笑ましいのと

少し嫉妬も交じった感情で
皆、彼女達の演奏を見ていた