―― 俺は
煙草を吸いながら
テーブルの前に座って
ずっと頬杖を付いて、話を聞いてた
そして灰谷が黙って
ティッシュをくれた
「 …悪い 」
それを受け取らず
頭を振りながら、笑って
指で目を抑えた
「 …赤池さんも試聴コーナーで
『Azurite』聞きながら泣いてた
それで
駅前で貰ったティッシュ渡したら
スタジオに、誘われたんだ 」
「 …あの人は、泣き上戸だから
あー… ホント駄目だ
あずるの事になると本当に…
灰谷、ごめんな 」
「 ……いいよ
アズが何で青山さんを好きだったのか
わかったから 」
「 …灰谷は、彼女いないのか 」
「 いらない 」
「 何で 」
「 アズ以上に、ハマれる気がしない 」
「 …問題無いかそれ 」
「 感情が揺れたのは
………アズの歌だけだ
俺は、自分の本当に叶えたい夢は
無理だから
アズには幸福になって欲しい 」
「 …相当だな 」
「 こうやって
彼女の歌を…聞いている時だけ
『空』が見えるんだ… 」
そう言って灰谷は
ソファーに仰向けになり
両手を、天井に向かって、拡げた


