とん、と 一度


飛び込んで来たあずるの頭が
俺の胸の前で、跳ねて





「 あ、あずるちゃんだっけ?
ごめんね〜
いま青山くんにやろうと思ったんだよ?

ボーカル代行してくれてたのに
本番はさ!
アタシやるからね? 」




「 …うん わかった
じゃあ…衣装あるから
あっちに… 」



「 マジで?!ありがと〜!! 」




―― 踏み出した





「 殴ったら駄目 」




あずるが少し後ろを向き
強い瞳で制止する



…その時 あずるの目の前に
"ミズタニ"が歩いて来た





―― 演奏が始まり 大音量で
周囲の音が潰れる




サイレンス映画の様に俺は
あずるに駆け寄り
青いギターを持った腕は
絶叫をあげて『被り物』を蹴り上げた




「 タカオ!! 」



俺の中の碧い瞳は
"ミズタニ"にそう言って微笑み
彼は静かに、そこへ歩いて来た




『 ……何やってんの? 』




そう言った目からは、涙が溢れていて



あずるは

「 …歌、うたってる 」と

満面の微笑みで言った





彼はそのまま真木に
『 代わりに出ます 』と言い



俺達に代わり、Rusheruが演奏した