「 あ〜 やっぱり暗いといいなあ 」



ステージ脇で
真木がご機嫌に笑いながら
エフェクターボックスを弄っている


池上が、持ち込んだJILLのシンバル

愛用の椅子に座って
激しくリズムをとった




次の出演は、さっきの赤池さんの所で

蜥蜴の彼が、
真木のエフェクターを覗いて
賑やかに談議を始めて
イメージが変わった




―― 俺達の構成は、こう

まず、あずるのアカペラで"アヴェマリア"
途中からドラムの裏打ちでリズム
ギターとベースが途中から入って速度を上げて行き"サードニクス"


あずるの声が、聖母から悪魔に変わる


でも英詩の内容は、
『シロクマの目が
オニキスで出来ていた事が判明した』歌




あずるは、俺が着ていた
無地のガーゼシャツを気に入り
それにいつものジーンズと
スニーカーでやると言う



薄い色のベリーショートに
碧い目、両耳に青いピアス






「 う? 」




俺、真木、池上の同時の視線を感じて
こちらを振り向く



「 まあ、何処までも行きましょうか
このメンバーで 」



真木がニシシと白い歯で笑い
池上が坊主頭をゆらゆらさせ
俺は腕を組んだまま
笑ってピースサインを出した






―― その時突然、 後ろから声







「 ……青山くん 嘘ついたの? 」