「 俺も怖いよ
―― 壊れてるのは自覚してる 」
「 平気じゃない? それが恋愛だろ
それに、バンドでカップル出来ると
練習中にまで持ち込んで
デレデレやる奴、オレ嫌いだから
少し心配してたんだけど
二人共、見事に練習中
ヴォーカルとベースだしな 」
「 うんうん、僕もそう思う 」
「 お、池上お帰り〜! 」
「 お帰り 」
「 ただいま! 」
池上はついでに買って来たビールを
真木と自分の前に置き
俺の前には、野菜ジュースを二本
置いてくれた
「 なんかね
……僕、思うんだけど 」
「 ん? 」
真木が頭上に缶をあげて
いただきます!と喉を鳴らす
「 少し、知り合いから
水谷って人の事を、聞いてきたんだ
自分が夢、目指してる隣に
…ごめんね?
例えるなら、
音の怪物みたいな小さな女の子が
ずっと隣り合わせにいるって
ミュージシャンとして
恐怖だったろうなあ……って 」


