群青の月 〜『Azurite』take00〜









「 …リュ… … 」




あずるは、
黙ってそれを受けていたが
途中から、少し苦しそうにしていたので

離した





濡れた唇から 甘い吐息






「 …… あずる 」



「 …うん 」


潤んだ、
不思議そうに見つめる瞳と
薄く染まった頬が、下から覗いた



「 …痛い所、無いか? 」


「 ある! あのね 」



それ以上言いそうだったので
手で顔を覆って、胸に引き込む



「 い、言えって言ったから 」


「 中止 」



あずるは、俺の両手を取って
自分の前で組ませた



「 …手、でっかいね 」




見上げる顔を、そのまま掴むと
ケラケラと笑う




「 …今度のJemuでのライヴ終わったら 」


「 うん 」


「 横濱に帰ろうか 」


「 うん 」


「 おまえ どっちが好きだ?
向こうとこっち 」



「 …向こうは、
リュウジと会ったところ 」




「 うん 」


「 こっちは………… 」


「 言わなくていい 」



「 …リュウジが 『愛してる』って
たくさん言ってくれたところ 」



「 …言うなよ 」


俺は腕に、顔を臥せて唸る



「 じゃあ、嘘? 」



「 …本気に決まってるだろ 」


「 あのね 」




「 …うん 」



「 絶対に、リュウジは私が守るよ 」


「 …ターミネー熊に任せとけ 」


「 やだ 」


「 いきなりどうしたの 」





「 ……ずっと、携帯に、電話 」



「 …音か バイブの 」



「 うん
…見たのかって言わないんだね 」


あずるは笑う




「 そりゃあね
でも終わったよ もう来てない 」





「 …うん 」