「 …リュ… … 」
あずるは、
黙ってそれを受けていたが
途中から、少し苦しそうにしていたので
離した
濡れた唇から 甘い吐息
「 …… あずる 」
「 …うん 」
潤んだ、
不思議そうに見つめる瞳と
薄く染まった頬が、下から覗いた
「 …痛い所、無いか? 」
「 ある! あのね 」
それ以上言いそうだったので
手で顔を覆って、胸に引き込む
「 い、言えって言ったから 」
「 中止 」
あずるは、俺の両手を取って
自分の前で組ませた
「 …手、でっかいね 」
見上げる顔を、そのまま掴むと
ケラケラと笑う
「 …今度のJemuでのライヴ終わったら 」
「 うん 」
「 横濱に帰ろうか 」
「 うん 」
「 おまえ どっちが好きだ?
向こうとこっち 」
「 …向こうは、
リュウジと会ったところ 」
「 うん 」
「 こっちは………… 」
「 言わなくていい 」
「 …リュウジが 『愛してる』って
たくさん言ってくれたところ 」
「 …言うなよ 」
俺は腕に、顔を臥せて唸る
「 じゃあ、嘘? 」
「 …本気に決まってるだろ 」
「 あのね 」
「 …うん 」
「 絶対に、リュウジは私が守るよ 」
「 …ターミネー熊に任せとけ 」
「 やだ 」
「 いきなりどうしたの 」
「 ……ずっと、携帯に、電話 」
「 …音か バイブの 」
「 うん
…見たのかって言わないんだね 」
あずるは笑う
「 そりゃあね
でも終わったよ もう来てない 」
「 …うん 」


