マサヤさんは
「 一緒いいかな?
一人でメシ食うの、寂しくてさ 」
池上は空いていた隣の席から
黒い丸椅子を引き、テーブルの下へ
真木は両手をそこに誘い
俺はお辞儀をした
マサヤさんは大股で
ガガッと椅子をテーブルに寄せ
あずるはマサヤさんが食っていた
ギョーザを運んで来た
「 親父さ〜ん
彼らにビール追加して〜 」
「 忙しいんだからテメエで持ってけ! 」
マサヤさんまで悪党面をして
壁の冷蔵庫にぶらぶら歩いて行く
あずるは親父に呼ばれ
カウンターの中に入った
マサヤさんが、ビールを真木に注ぐ
俺の前のグラスにも入れようとしたが
「 いや 俺は 」と、手で塞いだ
「 一番飲めそうなのに
あ 車か? 」
「 そんなとこです 」と笑う
マサヤさんは微笑み、それ以上は追求せず
池上は両手でグラスを捧げ持ち
「 頂きます 」と一気に行った
「 王子にさあ、俺
自殺未遂してたとこ、助けられたんだよね
あの子いなかったら
今頃ここでメシ食ってないよ 」