翌日の夜中

西口のターミナルの周りの
飲食店の群れ



少し油っぽい暖簾を潜り
ギョーザとラーメンの湯気の中

赤いテーブルと黒い丸椅子の上に
俺達四人は座っていた




あずるが声をあげる


「 ギョーザ 肉抜きで!!」


物凄い良い音で
白い割烹着の親父さんに
白い頭を叩かれる




「 テメエの同じネタは飽きた!
違うネタ仕込んで来い! 」



「 だから!
"キャベツギョーザ'作ろうって
前から言ってるじゃん! 」


「 カリっと噛んで
肉汁がな、ジューシーに
じわあっと出てくるのを頬張るのが
ギョーザの醍醐味じゃねえか! 」



あずるは悪党面で、親父を睨み
親父も、それに負けない悪党面を返す

常連らしい客達は
皆それを見て、箸を止め、大爆笑した



真木がビールを飲みながら


「 ボウズここも知ってたのか 」と
あずるの席を引く


ありがとう と席に座り
あずるはメニューを拡げた



「 働いてた 」



親父が中華鍋を揺らしながら
言葉を続ける