群青の月 〜『Azurite』take00〜






――30分程して
起き出したあずると
腹が減った三人は夜中の新宿へと歩き出す


屋上と違って
熱い空気が、肌に吸い付いた





光沢のあるスーツを着た男

靴擦れが出来たのか
ヒールから脚を持ち上げ内側にまわし、
様子をみている赤いドレス

白く煤けたガードレール
車道を、光跡が幾つも延びる




横断歩道で、靴に石が入り、立ち止まった



前を歩いていた三人は
青信号を上に、白いラインを渡りきり
すぐにそれが点滅して、赤に変わる



車が走り出した



お、と言う顔で、真木が振り向き
池上が少し遅れて、真正面を向く





――― あずるが


目を見開いたまま
躊躇せずに、俺に向かって走り出してくる






激しいクラクションの後

あずるは、目の前に居た



少し息を粗げて
俺の顔を見上げる




―― 頭の中が、一気に真っ白になり


怒声をあげ
殴ろうと振り上げたその手は



その小さな体を
強く抱きしめ

その唇に



激しいくちづけを
何度も、繰り返していた