夜の屋上
オレンジ色の、ランプをつけた



あずるは冷蔵庫に
さっき買って来た、ペットボトルを入れる


「 オレンジジュースね
氷冷皿に入れて、アイスにしていい? 」



「 いいよ 二つあったっけ 皿 」


「 うん 」


「 じゃあ片方
アイスコーヒー入れて貰える? 」


「 らじゃ! 」



歌を唄いながら
キッチンに向かっていたが
だんだん後ろ姿がよじれて来た



「 開かないか? 」


「 負けない!! 」


「 ムキにならないで貸しなさい 」


「 多分これ、瞬間接着剤で
開かない様になってるんだよ 」


「 おまえじゃないからそんな事しません
ほら 開いたよ

…だから悪党やめろって 」




しゃがんで笑いながら、
おもしろい顔を、両手で引っ張る



「 …そういえば おまえ
ピアス開いて無かったか 」


「 うん 」


ベースのポケットから
ピアスの入った袋を取る


四角くて、青いスエードの宝石箱


あずるはオレンジ色のランプの下
ベットの棚から
ピンクの薄いプラスチックを取り出す




「 リュウジ 」




「 ……なに? 」



――― 初めて、名前を呼ばれた



「 して 」



「 …何を 」



「 開けるの 」




あずるの手から、針が渡された