「 とにかく心配なのは
――― 彼女はね
『人のコンパスを狂わす人』だから 」
「 …コンパス? 」
「 うん
たまーにいるんだ
もの凄い、磁力の強い人
青山くんもね、そうだと思う
でも君は、自分でどこか自覚してて
抑えながら、生きて来てる
そして、彼女の磁力を理解して
惹かれながらも傍にいて、
背の高さは、随分違うけど
彼女の見ている物を
一緒に見て、歩いてあげられる
君はそんな人なんだと、僕は思うんだ
…彼女を
女性として見る事は、無理? 」
「 ……無理、と言うか 」
「 うん 」
「 …怖いです 」
「 何が 怖いの? 」
「 ……多分
おかしくなるとおもいます
別に あいつの磁力が平気なんじゃなくて
傍に居過ぎて、
麻痺してるだけなのかもしれませんし
…それに、奴は
一緒に自ら暮らす程、
好きな奴がいたんだし 」
「 …青山くん 」
「 ―― はい 」
「 爆弾を、投下してみようか 」
「 爆弾? 」


