いちごちょこ

「あっバレンタインデーのチョコはビターがいい。」


…は?



「なんで綾にあげなきゃいけ…」


「俺忘れ物貸してあげてるよなぁ〜」


「……バレンタインは嫌いなの。」


この時期になると思い出す『似合わない』という一言。



「ごめんね?
 じゃあ放課後…一緒帰ってあげる。」


わざと上から目線で言い,足早にその場を離れる。


奈々ちゃんの『さようならぁ』の声に振り返り笑顔で手を振る。


何か言いたそうな綾に気付かない振りをしてまた前を向いた。


ごめん,バレンタインデーは嫌いなの。


『似合わない』って分かってる。


分かってるから…嫌いなの。