「さよなら、だね」

ねえ

私にとって、この言葉がどんなに重いか君は知っている?


雪の降る街。

白く、冷たい粒が胸に突き刺さって
ますます痛みを誘う…。

多分この痛みからは、君以外に解ける人はいない。

雪解けの春が来ても、君がいなかったら意味ないよ。

「そうだな…」

…何で黙り込むの?

自分だって何も言えないくせに、そう思う私も卑怯なのに。

ただ沈黙が続く中で、私は答えを見つけられなかった。

だって私達には、“別れ”以上に大きな壁があったのだから。


「なあ桜。
…俺達、お互いのことは忘れないか?」

君が私に背を向けて口にした言葉。

私がこの言葉を理解するには勿論時間がかかった。

“どうして…?”

そんな言葉すら、口にできないよ…。


雪の隙間に小さく光る、クリスマスのイルミネーション。

そこの光も見えなくなるくらい胸が痛くて。

それでも別れと大きな壁は私に追い討ちをかけるかのように襲い掛かる。


「……忘れたくないよ。
忘れられないよ…私、私は陸が―――」

「…覚えていたって辛くなるだけだろ。
俺が辛くなる以上に、桜だって辛くなる。
俺は桜が傷つくのが嫌なんだ…」


あの日言えなかった言葉。

本当の想い。

胸の傷はそのままで、私達は別れを告げた。

でも私は…

守れてないよ。

あの日の約束。