二股男─甘い誘惑切ない葛藤─

「ちょっと!!
しい君?聞いてる?」


さゆりの一言で我に返る



だけど……


まだ、胸が苦しい……



ひろ子との思い出が一気にフラッシュバックする──


────…………
───………
──……。


『勝手に浮気しておいて
私は許すって言ってるのに
勝手に別れるんだ?
あんたなんか最低!!
一生私の前に現れないで!!
さようなら……』


──3年前。
別れ話をした日……
最後にそうに吐き捨てて去って行ったひろ子…


そんなひろ子に似た子が……
目の前で、男と手を繋いで
キョトンとしていた。



俺は、なんともやるせない気分にさせられたんだ…