二股男─甘い誘惑切ない葛藤─

「やーっとしい君に会えた!!」


「嬉しい?」


「嬉しいに決まってるよぉー
だってしい君、大好きだもん!」


「俺も……」


最悪だな。俺……


心の中で、自己嫌悪に陥りながら
車に乗り込む。


「で?
どこ行くの?とりあえず実家?」


何も無いフリをして
さゆりに問いかける


「……今日は、しい君と
ずっと一緒にいたいな」


助手席から瞳を潤ませて俺を見つめるさゆりを見て
一瞬ドキッとした。