二股男─甘い誘惑切ない葛藤─

「車、近くの駐車場に止めてあるから」


そう言って、彼女の右手を握る


「うん!ありがとう」


嬉しそうなさゆりの顔……
彼女の笑顔に胸が痛い


『俺、明日どんな顔してさゆりに会うんだ?』


そんな風に思ってたくせに
思ったより平常心を保っていた俺。


あぁ……俺って
何も無かったフリちゃんとできるんだ。


数年前は、浮気した後
普通ではいられなかったのに。


俺は──…
そんなに腐っちまったのか?