少しして、鍵を開ける音がして、
見覚えのある姿が見えた。
慎吾くんだ。

相変わらずの細身のシルエットは、
私の胸を強く締め付ける。

「あー麻奈ちゃん。どないしたん?」
「慎吾くん、大丈夫?」
「へっ?何が?」
「慎吾くん一昨日から
学校来てなかったから。」
「あー、あれやねん。
母さん死んだから葬式とか色々・・・」

慎吾くんは母親が死んでから
すぐにこっちに来たと言う。
そして、葬式をする金を
父方の両親に出してもらい
学校を欠席した
3日間の間に大阪に戻り葬式を挙げてきたそうだ。

「ごめんな。心配した?」
顔や口調や仕草が私を引き込む。

「してない。うそ、ちょっとした。」
「なんやねん。笑 
まぁまた明日から学校行くから。
また話そな。」
慎吾くんも心なしか少し嬉しそうだった。