教室に戻ると、

親友の朋美(ともみ)が心配そうな顔をして駆け寄って来た。


「朱里…?」


「あは。失恋しちゃった」


あたしはなんとか笑顔を作って朋美に話した。

やっぱり言葉に出すと結構キツイな…



ぎゅうっ


「と…朋美??」


朋美はあたしをぎゅっと抱きしめてくれた。



「うあ!?
苅野と永瀬っ、何お前ら抱き合ってんの〜〜?」


クラスの中でもいつも騒がしい男子が冷やかして来る。


「うるっさい!!!」


え…えええっっ!?


あの、かわいくて、どちらかと言えばおしとやか〜な、朋美が…


声を張り上げて怒ってる。

みんなビックリしてるし…


「ぶっ、…あははっ」


あたしはそんな朋美の行動に

本当に笑ってしまった。


「朱里ぃ〜!?」


だって
すごく、すごく嬉しくて。


あたしをぎゅっと抱きしめてくれる華奢な腕から

目一杯の朋美の想いが伝わってきた。