恋人ごっこ






廊下へと飛び出すと、


私は、さっさと帰ってしまおうと早足で廊下を突進む…






そして あの2人の、
私を女子として思っていない言動を思い出すと


なんだか泣けてきた……















「 ――…神菜? 」





ふいに後から声を掛けられる

振り向けば、

そこには 優斗が居た…



部活途中なのか、ジャージ姿の優斗



見慣れないそれに

思わず胸がときめいた。








「 えっ、ちょっ!?

なんで泣いてんの!?」




慌てたように私のもとに駆け寄り、

"恋人ごっこ"中の時のように よしよしと、なだめてくれた…





けれど、


"恋人ごっこ"が終わっているのを思い出したのか、その優しい手は動きを止めて離れていきそうになる……




「 …あ、…ごめん、」




そう呟いて離れた優斗の手




私は


離れていくその大きくて優しい手を思わず掴んで引き止める…





そして…





「 やだ。慰めてよ… 」






あぁ、私の馬鹿…


なに駄々っ子みたいなこと言ってるのよ…





自分で自分が
情けなく思う……




だけど優斗は…




「 …うん、」






優しく頷いて、
もう一度 私の髪を撫でてくれた……