恋人ごっこ





「 …まさか、神菜が優斗と付き合ってたなんてな…。」



お父さんどこか嬉しげにそう言う…

その言い方は、まるで以前から優斗を知っている風だった…。






「 …お父さん、優斗のこと知ってたの?」




「ん?なんだ、神菜は優斗からなにも聞いてないのか?」



「 なにを?」





「 …優斗の死んだ親父がな、うちの店の設計した人なんだよ。」





「 ………えっ、」




優斗の

お父さん……?







それは予想もしていなかった事実だった…


優斗はそんな素振りなんて見せなかったし、うちの親のこともお店のことも、聞いてきたことは一度もなかった…







「…その人は海外での評価が高い芸術家でな、特にヨーロッパ系で活躍していて、

俺が向こうで料理の修業してる時にたまたま知り合ってな…… 」





「 …ヨーロッパって、


もしかしてスペインとか?」




「 あぁ。よくわかったな


あの国には今でもあの人の作品が多いんだよ…」




「 ………。」







ああ そうか…



…だからあの時、

スペインだったんだ…。






言ってくれればグーで殴ったりもしなかったのに…



でも、言わないところが優斗らしい……