恋人ごっこ




「 母さんもな、神菜のこといろいろ考えているんだぞ…


今だって父さんがこうやって話しているけど、

それは母さんが俺に、神菜のとこに行け って言ってくれたからなんだ…。



口べたな自分よりも俺が話す方が神菜を傷つけないから って…。」




なんとも不器用なお母さんらしい……



「 …じゃあ、お父さんは仕事中なのに帰って来てくれたの…?」



時計を見れば、まだ仕事から帰って来るには早すぎる時間。

クリスマスの今日は一番忙しいはずなのに……




「 まあな、たまには良いだろ。


店は母さんがなんとかするだろうし、

秋にも、行って来い って厨房から無理矢理追い出されたし…。」




「 …うん、」






「 ……それに、



優斗に言われちゃ、行かんわけにもいかんだろ…。」






「 ………えっ、」




お父さんの口から思いもしなかった名前がさらりと飛び出した。






「 優斗に…って、えっ?

どういうことっ?」



私はあまりの衝撃的に、名残惜しさも忘れてお父さんから体を離した。





「 優斗がな、いきなり店に来てさ、

神菜が帰ってるから今すぐ家帰れ って、言うんだよ。」





「 優斗が!?」




どうりでお父さんが来るタイミングが良かったわけだ…



優斗は私を家に送ってからすぐにお店にまで行ってくれたんだ…。