恋人ごっこ





そう怒鳴ってから、

逃げるように家から飛び出した…。




なんとも低レベルな理由で怒ってしまったとは判っているものの、


頭に血が上り、いつまでたっても怒りは止まない。






もっと言ってやればよかったと思う一方で、



胸の奥は、

不安でいっぱいだった……







…家を飛び出してしまった私の行く当てなんて、優斗の所以外ほかに無くて、



そのまま優斗の部屋を訪れると、


約束していた時間より何時間も早い時間にやって来た私を、優斗は優しく迎え入れてくれた…。







「 …ごめん、こんな早くに来ちゃって… 」



「 別にいいって、


…それより、
そんな薄着で寒かっただろ。」


言いながら優斗が両手で、私の冷えきった頬を包み込んだ。




その暖かさに、

思わず泣きそうになった…。