恋人ごっこ




朝っぱらから…


とか、


子どもの前で…



とか、


いい年した大人が…



…とか、


いろいろと言いたいことはあるものの、

これはもう我が家にとってはよくある光景なので、私はそのまま口を閉じた…



よくある光景と言っても、これはやはり見ていて恥ずかしいものがある…。





そんな2人から意識を逸らすように私は、ケーキのデコレーション作業を再開した。



クリームを均等に乗せていくと、

イチャイチャし終えた2人が、私(というか、ケーキ)に関心を向けた。





「 神菜、ケーキ作ってたのか?」


「 うん。クリスマスだからね、」



私がそう答えると、
2人は何を思ったのか、せっかく乗せたスポンジの上のクリームをたっぷりと掬い上げて、舐めた。



「 「 93点…。」」


2人はクリームを含んだ口で、揃えてそう言った。

職業病なのだろうか、2人は人の料理の味に点数をつけたがるのだ…






「 ちょっ、 なにすんのっ!?」



私は慌てて大声を上げた。

せっかくデコレーションしたのに無遠慮に掬ったものだから、もう台無しになってしまった…。