「 …っ、神菜、
殴ることないだろ…、」
殴られたところをさすりながら優斗がそう訴える…
私はそんな優斗の言葉を無視し、
「 ちゃんと、説明してよね!!」
と、優斗に迫った…。
…とりあえず家の中に入ってもらい、そこで話を聞くことにした。
「 …なんで 観光?」
改めて私が尋ねると、
私のその剣幕に対し 優斗は困ったように笑いながら答えた…
「 …。なんていうかさ、
前々から、俺はスペインには旅行しに行きたかったわけ。
そのことはおっさんも知ってたから、留学しないって言う俺に、少しでも海外に興味持たせるためにスペイン行きのチケットくれたんだよ。
タダだったからそのまま行って来た…。」
「 ………。」
私は唖然となって言葉が出なかった。
タダだからって、そんな怪しい誘いに乗るなんて…、
「 あのね、優斗…
タダだからって言われても、行っちゃ駄目!!
これが、もしなにかの罠だったらどうするのっ!?」
あのおじさんだったら 優斗を連れて行く罠であった可能性も十分あり得る…
そう思ったら、説教せずにはいられなかった…。
「 罠って…、
神菜、考え過ぎだよ、」
そうのんきに笑う優斗。
優斗は普段はしっかりしてるくせに、
自分のことになるとかなり無頓着すぎる…。
その分、私がしっかりしないと って改めて思った……