恋人ごっこ






…とはいえ、
優斗の留学のことが気になって気になって、


すき焼きを味わう余裕なんて私には無かった…。


美味しいはずのすき焼きも、今の私にとっては美味しさなんか感じられなかった…







「 あのさ…、神菜、」


優斗が箸を止めて、静かに私に呼びかけた。




「 な、に…?」


若干 声が裏返ってしまった…。



優斗を見つめると、


優斗は真剣な様子。


それでいて、
どこか嬉しそうな表情でもあった。









「 ………俺、


スペインに行くことになった。」






意識が、

一瞬 遠退いた…。