…なにも言えない私と、
頭を下げたままのおじさん
部屋のなかは、しばらくの沈黙が続いた…
…そして
その沈黙を破ったのは、この部屋の主である優斗だった…
「 ただいま、」
と、コンビニ袋を下げて帰って来た優斗は私を見てにこっと微笑んでくれたけれど、
おじさんの姿を見るなり思いっきり顔を引きつらせた…
その手に持っていたコンビに袋が、音を立てて床に落ちる。
「 アンタ なんでここに居んだよっ!?」
そうおじさんに向かって大声を上げた優斗は、おじさんから庇うような形で私を抱き寄せた。
「 神菜、このおっさんになにもされてないか!?」
焦った声でそう尋ねられたが、私が答える前におじさんがへらっと笑って答えた。
「 人聞き悪いこと言わんといてくれや〜、
わしが優斗の女に手ぇ出すわけないやろ。」
さらっと嘘を吐くおじさん。
さっきまでの真面目な表情は一変して、その表情は人懐っこく笑うのだった…
「 神菜、本当か?なにもされてない?」
優斗が、もう一度そう尋ねるので、
私は、おじさんを庇う義理もないので素直に
「 ……胸、触られた。」
と、小さく呟いた。
「 ………。」
「 ちょちょちょっ、
ただの挨拶みたいなもんやろ?」
私の言葉を聞いた優斗は、無言でおじさんを締め上げた。
締め上げられているおじさんは、焦ったように声を上げる…
「 ……… 」
「 そない怒らんでもええやんか、
わしと優斗の仲やん?」
おじさんは取り繕うように笑うけれど、
優斗は、私が今まで見たこともないくらいにキレていた…
「 出てけ。」
と、冷たく言い放ち そのままおじさんを部屋から追い出したのだ…

