恋人ごっこ







…そんなふざけたことをしていたおじさんだけど、何故か急にかしこまって正座になった…





「 …まぁ、おふざけはこの辺にしといて、


お嬢ちゃん、ちょっとそこ座り…、」




おじさんは真剣な顔をして、私を見つめた…


正面に座ることを促されて、私がおとなしく座ると、おじさんは厳格な面持ちで口を開いた。





「 お嬢ちゃん、優斗の絵 見たことあるか?」


私は静かに頷いた。




「 …ほんなら、あいつに絵の才能があることは判るよな?」


「 …はい、」


もう一度頷いた。
美術に関して素人の私でも、優斗に才能があることぐらいは判る…





私が頷くを見ておじさんは、ゆっくりと話を始めた…





「 わしはな…、これでも それなりに成功しとる画家やねん。

そのわしの目から見ても、優斗には才能がある。」




真剣なその言葉に、私はただ頷くことしか出来なかった。


おじさんは更に話を続ける…



「 …わしは、優斗には早よ海外で絵の勉強させたいと思うとる…。


こんな狭い国におっても、優斗の才能が伸ばし切れんことは目に見えとる。





…今日、

ここに来たんはな、

優斗にそのこと言うためや。」