恋人ごっこ






「 ……そんな大事なこと、私なんかに言っても良かったの?」



片平さんも知らないようなこと、私なんかが知ってしまってもよかったのだろうか…、




そう恐る恐る尋ねる私に、優斗は


「 神菜になら話しても平気。

…つーか、神菜が、俺のこと知りたいって言い出したんだろ?」



そう笑って言うけれど、




「 いや、まさかこんな深い話になるとは思わないからっ!!」


まさかこんな秘密を知ることとなるなんて思いもしなかった。

私としてはもっとこう、手軽な話でも良かったのだ…




…たとえば

そう…、




「 …優斗の好きな料理ってなに?」


この程度の話でも良かったのだ…








「 えっ?なに、突然…、」



いきなりの料理の質問に、優斗はきょとんとなった…





「 もうすぐお昼でしょ?

私なんでも作るから、優斗の好きな料理教えてよ!!」



私がそう言うと、優斗はちょっと考えてから、




「 …カレー食いたい。」

と、そう呟いた。





「 わかった!

じゃあ、材料買ってくるね!!」


そう言って部屋を出ようとする私を優斗が止めた。




「 材料なら冷蔵庫にあるから、」


言われて冷蔵庫を覗くと、確かに野菜類は揃っていた…


けど…、



「 カレールーつくるスパイスとかいろいろ足りないじゃん。」


そう言って私が再び買い物にいこうとすると、また優斗が止めた。






「 いや、市販のルーでいいから。」




「 えっ、市販…?」











……こうして私は、



この日、

優斗の秘密と、市販のカレールーの存在を知ったのだった……