恋人ごっこ





言われた通り、


私と優斗がおとなしく教室の掃除をしていると…、



なぜか突然
ユミが教室に飛び込んで来た。





「 もう点呼終わっちゃったっ!?」

と、息を切らして言う様子から、どうやらクラスの点呼に出そびれたようだった…




「 うん、みんな帰っちゃったよ、

…てか、こんな時間までなにやってたの??」



( 文化祭終了の放送がかかってから、もう1時間は過ぎてるのに… )




そう不思議に思った私が、そう尋ねると、

ユミは持っていた鞄から、あるものを取り出して見せた…






「 コレ!すごく人気でねぇ~、

買うのにずっと並んでたんだぁ~。」




と、可愛らしく微笑みながら言って、
私に渡したソレは、

一冊の漫画本だった。




その表紙は、
少女まんがのようなタッチで描かれた白衣の男が2人 寄り添っているのだ……









「 ……これって、」



この男2人に、

私はすごくすごく見覚えがあった…。






春兄ちゃんと、

タモリ君だ。



ぺらっとめくってみると、愛し合う2人……


それを見て思わず固まってしまった……。






…そう、

私が今手にしたこの本こそ、


漫研から出回ってると噂の、例のやおい本なのだった…。