恋人ごっこ





…優斗の言葉に、


胸の奥がぎゅうってなって、熱くなった…







私も同じだって言いたいのに、


口が動かない

呼吸が上手く出来ない……












「 …ごめん。

それだけ言いたかった。




…じゃあな、」






なにも言えない私に、

優斗は
笑ってそう言った…







それは

全て諦めたような、けじめをつけたような、



そんな
すっきりとした笑みだった……











( やだやだやだ。

そんな風に笑わないで…



これで、

終わりなの…?







…私のこと



もう好きになってくれることはないの…?)













…私から終わらせたくせに、都合良すぎるかもしれない。





だけど、

私だって、優斗のことが好き…。








それなのに

私の気持ちなんて知る由もない優斗は、静かに私の横を通り過ぎて行く……









……あの時は、


そのまま屋上を出て行くその背中を見つめるだけだった…


振り返ってくれることをただ都合良く願っていた。










…だけど今は、





「 ………っ、




 優斗っっ!! 」










…自分が変わらないといけないということに、ようやく気付くことができたから、




去ろうとするその後ろ姿を、私は大声で呼び止めたのだった…。