恋人ごっこ









「 ……ぇ、」





今日も…?







…いや、

もうこれは私が、ただ好かれてないだけじゃないのだろうか…?







…いやいやいや、



私、仮にも恋人 だよね…?






そう 仮にも恋人…


仮恋人……





 …………恋人ごっこ?









…えぇぇぇぇっ!?





寝起きの頭で余計なことを考えるものではない。

馬鹿な結論しか出ないに決まっている…




そんなことにも気が付けない私は、

その馬鹿丸出しの嫌な結論に、自分の顔が思い切り引きつった…。












「 えっ、神菜 どうした!? 」



「 な、んでもない。」




焦ったように声を上げる優斗に、気合いで笑顔を貼り付けて返事をする…








"恋人ごっこ"だなんて、
そんなわけないじゃん。



なに考えてんだ

私の馬鹿…



と、自分自身を言いくるめて




階段を降りて行く優斗に笑顔を貼り付けたまま手を振った…












優斗が行ってしまい、
私一人が取り残された階段の踊り場には



虚しいため息が、

小さく響いたのだった……