恋人ごっこ








「 …"リストランテ C"って、知ってる? 」


私は、この街一番のレストランの名前を口にした。





「 ………あぁ、


……確か、星3つ貰ってるレストランだろ?」




そこがどうかした?と、不思議そうな優斗に、

私は、今まで誰にも話したことがないことを話出した……








「 そこのシェフがね、私の親なんだ。」



「 ………………マジ?」




「 うん。2人共ね、


…夕方から店に出て、夜中までずっと料理作ってるの。」






…だから、

私は両親とはすれ違いばかり…。




2人の仕事に休みなんてほとんどないから、

学校通いの子どもにとっては、会えないことの方が多かった…。






「 …夕方まで家に居るから、夏休みとかにね、

毎日のように一流シェフ2人に、料理を叩き込まれてきたわけ。



しかも、家庭料理じゃなくてレストラン向けの料理ばっかり… 」





「 …あー、だからリゾットだったんだ。」




ぐるぐるする手を止めて、優斗が納得したように頷いた……