恋人ごっこ

















「 神菜ー、泣くなー。」



「 …だっ、だって 名前がないなんて…っ、」





結局 泣き出して膝を抱えて体育座りになる私に

優斗が膝の上に猫を抱えたまま声を掛ける







「 …ううっ、

私も、生まれてすぐに親に名前を読み間違えられたけど…、


名前がないのに比べたら
そんなの、全然マシなんだよね… 」





「 …は?読み間違えられた…!?」





何気なく零した言葉に、優斗が驚いたように私を見る…







そこで

私が、親に名前を読み間違えられて今の名前になった話をすると、







聞き終えた優斗は、顔を引きつらせて

小刻みに肩を震わせた…
















そんな優斗に、


「 笑ってもいいよ? 」


と、言ってやると、








「 …ごめんっ 」



と呟いてから優斗は、


本当に

腹を抱えて笑い出したのだった……