恋人ごっこ







冷めきった紅茶の最後の一口を飲み干すと、



片平さんが伝票を持って席を立つ





「 じゃあ、僕はもう行くから、


あとは あの子に送ってもらって… 」







あの子…?





私が首を傾げると、


片平さんはにっこり笑ってお店の窓の外を見た



私もそれにつられて見てみると…






そこには…




優斗が居た。





「 優斗……、」




思わず
ガラス越しに見える彼の名前を呟いた





ユリと一緒だったはずなのに、どうして…?


いや、

優斗だったら片平さんを優先するか…












そんなこと考えていると

片平さんは会計を済ませて、店から出て行ってしまう。


私も慌てて彼を追うように店から出る。




すると




「 神菜!」




と、優斗が呼び掛けながら私に駆け寄って来る…







なんとなく

顔を合わせづらい……