恋人ごっこ




いったん話が途切れた後




片平さんが
もう一度口を開いた






「 ……神菜さん、



僕はね、

薫さんが死んでしまうまでに、彼女から貰った愛の半分も 彼女に愛を返すことができなかったと思うんだ…。



僕は今でもそれをずっと後悔している…。 」



片平さんは、
ぽつりぽつりと言葉を紡ぐ。





「 …だからね、神菜さん。


どうか

後悔のないように、
今を過ごして欲しい…


好きなら、"好きだ"と言えられるうちに伝えるべきだ…




後悔だけは、

絶対にないように生きて欲しい。」







真剣な目して そう語った片平さんは、




もしかしたら



私と優斗との

"恋人ごっこ"を見抜いていたのかもしれない…。






その真意を確かめる勇気もない私は、


ただゆっくり頷いただけだった……