私の問い掛けに、
片平さんは幸せそうな笑みを零した 。
…それだけで、
彼がどれだけ優斗のお母さんを愛していたのかが判ってしまう…。
「 ……そうだね、
一言で言うなら、
"素敵な人"かな…、
それから、
"強い人"だったかな…。」
静かに語る片平さんの言葉に私は頷いた…
あの優斗のお母さんなら、それは素敵な人なんだろう……
「 薫さんには身寄りがなくてね、優斗の父親にあたるその人にも身寄りがなかった…
その父親は優斗が生まれる前に事故で亡くなってしまってね、
彼女は文字通り、
女手一つで 優斗を育てたんだ…。」
私は黙って片平さんの言葉を聞いていた…
聞きながら、
精一杯 頭のなかで彼女を想像した…
「 強くて、
優しくて…、
彼女は いつだって笑っていた。
僕は、そんな彼女の存在に 数え切れないほど、救われてきたんだ… 」

