「 …あのっ、"薫さん"って…? 」


そう尋ねる私に

片平さんは慌てて言葉を付け足した




「 …あぁ、知らなかったよね。

ごめん…





薫さんは、


優斗のお母さんだよ…」








"うちには、母親がいないんだ…


4年くらい前に、

   死んだから……"





…あの時の

優斗の言葉が頭のなかで木霊した……






「 …薫さんが生きていた頃は、優斗も普通に女の子と付き合ったりしてたんだけどね…



彼女が亡くなってからは、そのせいかは判らないけれど…誰とも付き合わなくなってしまったんだ… 」



片平さんは淡々と言葉を紡ぐ…





「 だから、


きっと

神菜さんは優斗にとって


 特別な人なんだよ…」





片平さんの言葉に



なんだか
泣きそうになった…。