恋人ごっこ









手を引いて歩く間も、
ユリは俯いていて





まるで私が泣かしたみたいだ……








とりあえず落ち着かせようと、自販機でミルクティーを買ってあげれば



ユリはそれを黙って受け取ってくれた…





そして、一口飲んで

深く息を吐くと、





ユリが口を開いた…。






「 …なんで、

助けたんですか?」




「 …なんでって、言われても… 」








―――貴女がシメられる原因となった男に頼まれました…。


そんなこと言えるわけもない…







「 人として当然のことでしょ。」



もっともらしい事を言いながら、私もミルクティーを飲み込む…









「 …馬っ鹿みたい。」





ユリが呟く。





いつもみたいに、

語尾が伸びていない…


これがこの子の素か…。









「 私、優斗先輩のこと好きなのよ。


アナタのこと、嫌いに思ってるんだから… 」






うわ 直球…






こうも真直ぐに、


嫌いだなんて言われたのは初めてだ…