恋人ごっこ




「 神菜……、」




優斗が真剣な瞳で見つめながら、


私の名前を呼ぶ……










人気の無い駅のホーム

優斗と2人きり…







( …やめてよ、


こんな告白するかのようなシチュエーションで、




真剣な瞳で
私を見ないで、


名前なんか
呼ばないで…、




馬鹿みたいに期待するだけなんだから…。)










「 神菜…、あの さ…」




「 …な、に?」






心臓の音が、
煩いくらいに響いていた…。








「 …あのな、





俺の…、


彼女役をもう一回やって欲しいんだけど…」




「 …は?」










…やっぱり、

ドキドキなんてするんじゃなかった…。






優斗の言うことは、

いつだって私の期待を裏切るのだ…





"彼女になって"じゃなくて、


"彼女役になって"
なんて言葉を好きな人に言われるなんて、


こんな酷い話もなかなかないと思う… 。