恋人ごっこ






「 …………ぁ、


あの、でも私には… 」




( ―――優斗という好きな人が… )




言葉に詰まる私を見て、タモリ君は切なそうな顔をした。





「 わかってます。


先輩には、既に好きな人がいますもんね…… 」






( やだ、

そんな顔しないでよ… )



悲しそうな表情に、胸が締め付けられる。










「 大丈夫っす。



先輩に迷惑掛けたくないんで、困らせるような真似はしません…。」



「 ………。」



そう言って、切なそうな顔を伏せるタモリ君


私はなにを言っていいのかわからず、ただ黙っていた…





「 おとなしく諦めますから……、




だから……――、」







…そして、


タモリ君は伏せていた顔を再び上げて

私を真剣に見つめる…





「 ――……だから、








俺の新しい恋が上手くいくように、

協力して下さいね??」








最後のところは、にっこり微笑んでそう言った…






「 はぁっ!? 」



「 当然 協力してくれますよね?


だからそれ、ちゃんと渡しといて下さいね?」



「 ………。」




( 最初からそれが目的だったか…



ていうか、

またしても
からかわれた…… )